看護協会のホームページでは、

倫理について次のように書かれています。
「人として守り行うべき道。
善悪・正邪の判断において普遍的な規準となるもの。道徳。モラル」
看護師をしていると、
倫理という言葉は避けて通れません。
看護学校でも必ず学びますし、
グループワークや討論で
「あなたならどうする?」と
何度も考えさせられます。
精神科では、倫理を考える場面がとにかく多い
精神科で働いていると、
年に1〜2回はスタッフ全体で
倫理について話し合う機会があります。
なぜなら――
精神科の現場には、
白か黒かでは判断できないグレーな場面が
本当に多いからです。
最近は多様性の時代とも言われ、
文化や価値観も人それぞれ。
「これが正解」と
言い切れる場面は、正直ほとんどありません。
抑制・隔離と倫理のズレ
以前の記事でも書きましたが、
精神科では治療の一環として
抑制
隔離
といった処置を行うことがあります。
正直、
倫理的にどうなのか?
そう感じる行為も少なくありません。
ただ、
そうした環境に長くいると
次第にそれが「当たり前」になってしまいます。
周囲も皆同じなので、
世間一般の感覚のほうが
少数派になってしまうこともあります。
だからこそ、
定期的に話し合う場が設けられています。
夜勤で本気で悩んだ、倫理の問題
ある夜、
夜間緊急入院で
若い女性患者さんが入院してきました。
状態は躁状態で、
大声
暴言
他者への暴力
があり、
すぐに隔離室へ。
その後、
四肢抑制が必要な状態となりました。
オムツ装着をめぐる葛藤
抑制時は原則として
オムツを装着します。
理由は、
ベッド上で抑制している状態で
失禁・失便したままにできないからです。
しかし、その患者さんは
激しく抵抗し、
「やめろーー!」と叫び続けていました。
夜間でスタッフも少なく、
女性スタッフだけでは対応が難しい。
とはいえ、
若い女性患者さんの下着を
男性スタッフを含めて
無理やり脱がせることが
本当に正しいのか…。
もし失禁したら、どうするのか?
結局、
本人の強い拒否もあり、
オムツは装着しませんでした。
ただ、その時頭に浮かんだのは、
もし失禁したら?
そのままの状態で置いておくのか?
それは倫理的に許されるのか?
という疑問でした。
答えは出ませんでした。
その夜はたまたま
排泄はなく、
朝には抑制が解除されました。
結果的には問題は起きませんでしたが、
もし状況が違っていたら…
今でも考えることがあります。
倫理に「正解」はないのかもしれない
その夜、
私は隔離室の責任者でした。
判断を迫られながら、
「これで良かったのか?」
と何度も自問しました。
精神科看護師として働いていると、
倫理に正解がない場面に
何度も出会います。
だからこそ、
一人で抱え込まず、
皆で考え続けることが
大切なのだと思います。
最後に
精神科看護師の仕事は、
きれいごとだけでは済まない場面も多いです。
それでも、
人と真剣に向き合い、
悩みながら働く仕事でもあります。
同じように現場で悩んでいる人が、
「自分だけじゃない」と
少しでも思ってもらえたら嬉しいです。
※本記事は、個人が特定されないよう内容の一部を変更・再構成しています。実在の人物・出来事とは異なる場合があります。


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